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福井地方裁判所 昭和28年(ワ)36号 判決 1953年4月21日

原告(二三名選定当事者) 坂本始

被告 松本建設株式会社

主文

被告は、原告に対して金十七万六千円及びこれに対する昭和二十八年三月十四日以降右完済に至るまで年五分の割合による金員を支払うべし。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

原告代理人は主文同旨の判決を求め、その請求の原因として、「別紙目録記載の二十三名は、共同の利益を有する多数者であつて、その中より坂本始一名を総員のために原告となるべき者に選定したのであるそして右二十三名は、いずれも土工又は日傭人夫をして生計を営むものであり、被告会社は、土木、建築等の工事請負をすることを営業とするものであるところ、被告会社は、福井県より、福井地方大震災によつて災害を蒙つた福井県足羽郡上文珠村徳光所在の河川の護岸その他の工事(徳光災害復旧工事という)を請負い。別紙目録記載の二十三名は、いずれも同目録記載の期間中少くとも二十日間その目録記載の日給額の約定で被告会社に雇われ、右工事現場において労務に従事した。ところが被告会社は、右二十日間二十三名分合計金十七万六千円の賃金を約定賃金支払日たる昭和二十七年十二月二十八日を既に経過した今日に至るまで支払をしないので、右二十三名の選定当事者たる原告は、被告に対して右金員及びこれに対する本件訴状が被告会社に送達された日の翌日以降右完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるために、本訴請求に及んだ。」と陳述し、立証として原告本人の尋問を求めた。

被告会社は、公示送達の方法によつて適式の呼出を受けたにもかかわらず、本件口頭弁論期日に出頭せず、且つ答弁書その他の準備書面を提出しなかつた。

それで考えるに、原告本人の供述によれば、原告主張の請求原因事実を全部を認定することができ、本件訴状が被告会社に送達された日の翌日が公示送達の効力発生日たる昭和二十八年三月十四日であることは当裁判所に顕著な事実である。従つて、被告会社は、別紙目録記載の二十三名に対してそれぞれ同目録記載の賃金とこれに対する昭和二十八年三月十四日以降右完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金とを支払うべき義務があるものというべく、それで選定当事者として右二十三名分の賃金と遅延損害金とを一括してその合計額の支払を求める原告の本訴請求は、理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 吉田彰)

(別紙目録省略)

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